コリングス・ファクトリーレポート!

ギター 東京店

先日Collingsの工房へ行って参りました。輸入代理店トーラスコーポレーションさんに案内していただき、Bill Collingsをはじめとする素晴らしい職人達の作業現場を見ることができましたので、ここで紹介したいと思います。

行き先はテキサス州オースティン、成田よりテキサス州ダラス→オースティンと移動、トランジット待ちを入れると約16時間。なかなかハードな移動でしたが、着いてみれば楽しさや興奮のあまり疲れも全くなく気分爽快でした。


オースティン空港内のオブジェ。街中もそうですが、どこに行っても音楽が溢れた素晴らしい街です。

さて工房の場所はオースティン中心部より車で約30分ほど走らせた郊外に位置し、のどかな街の中にCollings工房はありました。

入り口は看板もなく、このポストのみ。これだけで画になりますよね。

Bill Collings氏

早速工房を案内してもらいました。
ちょうど仕上がったばかりの恵比寿店オーダー品があり、副社長Steve氏が直々にPGを貼ってくれてこの場で完成。

ここから全行程を見させてもらいました。最初に案内してくれたのはGreggさん


材の管理担当者Bruce氏の作業場。ここではブックマッチされたトップ材やバック材をチェックし、一枚一枚厚みをカンナで微調整している。すべてBruce氏のみが行う大事な行程。残念ながらこの日Bruce氏は不在でした・・・。


オリジナルのサイドベンディングマシーン。最終的にはハンドベンディングにて微調整される。



ライニング接着。ライニング材などのパーツも自社で作る。マホガニー材やスパニッシュシダーを使用。




サウンドの方向性を決める大変重要な作業。一つ一つの工程がとにかく丁寧だ。


ブレイス接着後、はみ出た接着材も丁寧に除去。




1997年頃からマホガニーネック内部にはスティールプレートを仕込んでいる。重量のバランスを考えての事だそう。
奥のメイプルネックにはスティールプレートはナシ!メイプルは重量もしっかりあるので必要ない!との事。なるほど。




フレットを打つ前に行う溝の処理。こういう手間が全体の安定感を支える。


ヘッドのサンディング。シェイプを崩さないよう慎重な作業。時間をかけながら美しく仕上げるのも全スタッフの共通点。


ネックジョイントとアングルの調整。何度も何度も確認し完璧な精度だ。



塗装の下地はUV、トップコートはニトロセルロースラッカー。この組み合わせは深い意味があり、より下地が強く、長年に渡り塗装面のクラッキングが起きない。さらにラッカーの美しい光沢が生まれる。
オールラッカーに見られるクラッキングや塗装面のベタつきや目痩せといった経年変化は否定できない。強い下地で極薄に仕上げることが可能になり、長年変化も少なく、色鮮やかな美しいトーンを維持できるといった素晴らしい行程だと思います。
近年では日本人ルシアーもこの方法を取り入れている方が多いのも事実です。



Collingsが新たに使用し始めたサイド&バック材”スパニッシュシダー”
マホガニーのような軽快なサウンドが期待できる。スパニッシュシダーでは見たことのないフィギャードが・・・スゴイ


こちらはアフリカの木材”ウェンゲ”(Wenge)、ただいま試作中とのこと。Collingsでは様々なオプション材があるので組み合わせてオーダーが可能です。




サンディングからバフまで多くの工程を得て、このようにバフキズ一つない美しい光沢が生まれる。


ブリッジ作成。木工作業はすべて機械にてラフカットし、すべてスタッフの手作業にて仕上げられる。


ブリッジ接着。接着材は”インペリアルグルー”というものを使用。それって何ですか?タイトボンドとは違うのですか?と訊いたところ、「タイトボンドより強力な接着材で、乾燥したらもう剥がせない。ブリッジを剥がすにはルーターで破壊するしかないぜ!」と。
・・・なんと強力な。ですが接着材だけでなく、ブリッジと接地面との精度の高さが合わさっての強度であるとお考え下さい。


ここでナット&サドル・ペグも取り付けられ、最終調整される。

さて、続きはパート2にて。
てるや

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